京都から持ち帰った二つの味を、今の暮らしで楽しむ。
京都へ帰省したとき、千枚漬けと黒七味を買ってきました。どちらも京都らしい食べものですが、家に帰ってからの楽しみ方は少し違います。千枚漬けはそのまま味わい、黒七味は料理の味を少し整えたいときに使う。二つの味が、京都の記憶を日々の食卓へ運んでくれました。
この記事で分かること
- 千枚漬けと聖護院かぶの歴史
- 黒七味を形づくる香りと、七つの素材
- 二つの京都の味を、日々の食卓で楽しむ方法
一甘くてやさしい、千枚漬け
千枚漬けは、薄く切られたかぶの白さが美しい漬物です。
今回は赤い器に盛り、そのままいただきました。しっとりとした食感に、やさしい甘さ。薄い一枚の中に味がなじんでいて、何も加えなくてもおいしく食べられます。
漬物というと塩味や酸味が強いものもありますが、千枚漬けにはどこか上品で、穏やかな味わいがあります。
二御所の料理人から始まった京都の味
千枚漬けは、しば漬け、すぐき漬けと並ぶ「京都三大漬物」の一つです。
江戸時代、京都御所に仕えた料理人が、大きな聖護院かぶを薄く切って漬けたことが始まりとされています。
聖護院かぶは、京都で育てられてきた京野菜です。大きいものでは重さが4〜5キログラムほどになり、肉質がやわらかく、きめが細かいことから千枚漬けに適しています。
現在の千枚漬けは、薄く切ったかぶを昆布や酢などで漬けるのが一般的です。長期間保存するための漬物というよりも、かぶの繊細な食感と風味を楽しむ、京都の季節の味として親しまれてきました。
薄いかぶが幾重にも重なる姿には、素材を生かしながら美しく整える、京都の料理らしさも感じられます。
三黒七味は、味を整える小さな道具
もう一つ持ち帰ったのが黒七味です。
私は、料理を食べていて「もう少し味がほしいな」と感じたときに使っています。パスタに振りかけることもあります。
京都の伝統的な薬味ですが、和食だけに使わなければならないわけではありません。いつものパスタに少し加えるだけで香りと刺激が重なり、味に深みが生まれます。
黒七味には、唐辛子や山椒、黒ごま、白ごま、青のりなど、七種類の素材が使われています。素材の一部を煎り、細かく挽いて練り込むことで、赤や緑の色が目立たなくなり、独特の深い色合いになるそうです。
辛さを加えるだけではなく、山椒やごまの香りによって料理全体を整えてくれるところが、黒七味の魅力です。
四伝統の味を、今の暮らしで楽しむ
千枚漬けは、そのまま完成された味を楽しむもの。黒七味は、普段の料理に加えて、自分の好みへ近づけるもの。
楽しみ方は違いますが、どちらにも、素材を大切にしながら味や香りを細やかに整える京都の食文化が表れています。
伝統的な食べものも、特別な日にだけ味わうものではありません。千枚漬けを家で気軽に食べたり、黒七味をパスタに使ったりすることで、今の暮らしの中にも自然に取り入れられます。
京都から持ち帰った二つの味は、帰省の思い出とともに、毎日の食卓を少し豊かにしてくれました。
今日のひとこと
伝統の味も、自分らしい食べ方で日常に取り入れると、より身近に感じられます。
読んだあとに
3つのおすすめ|やってみよう
- 01
千枚漬けを、まずそのまま味わう
何も添えずに一枚食べ、甘さ、酸味、やわらかな食感を意識します。
- 02
黒七味をいつもの料理に加える
パスタ、うどん、きのこの炒め物などに少量振り、加える前後で香りを比べます。
- 03
器で京都の冬を表す
白い千枚漬けを朱色や漆風の器に盛り、色の対比から季節の景色をつくります。
